昨年の「SID」や「FPD International」で注目を集めた韓国Samsung Mobile Display Co., Ltd.の31型と40型のテレビ向け有機ELディスプレイに採用された技術が明らかになった(論文番号:53.4)。

 同社は,31型パネルの有機ELの塗り分けに,「FFM(ファイン・メタル・マスク)」を用いる蒸着方式を採用した。画面の均一性を確保するために,走査線は両側駆動で,画面左右に走査ドライバとエミッション・ドライバを低温多結晶Si-TFTで内蔵している。アノード側電源を供給するELVDDラインは,画面内にメッシュ状に配置している(図1)。同社は,エキシマ・レーザー・アニール(ELA)装置の制約により,低温多結晶Si-TFTでは31型が画面の最大サイズになることも明らかにした(図2)。画素回路は5トランジスタ,2キャパシタ方式で,アノード電極の電圧降下(IR-Drop)としきい電圧(Vth)の両方を補償できる(図3)。

図1  ELVDDラインは画面内にメッシュ状に配置
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図2 低温多結晶Si-TFTでは31型が画面の最大サイズになる
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図3 画素回路は5トランジスタ,2キャパシタ方式
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